この夏の新刊
今年の夏コミは前日設営から参加しているはくほーです。
今まで仕事休んでまで労働奉仕する気にはなれなかったのですが、以前は職務上なかなか休めず有休が余って毎年5~10日分ぐらいが失効してました。今年は仕事が少し変わったので、積極的に有休を消化する方向でいこうと考えております。
その使い途が前日設営というのはどうなんだろうという気がしないでもないですが。
それはさておき、新刊の紹介です。
今回の新刊ですが、むげんれんさとしては初の試みとなります漫画本の同人誌です。
タイトルは「Elder Summer」。
本来、恒例の短編小説集があって、おとボク10周年を記念して、この本も出すという予定でした。しかしながら、短編小説集のほうが諸事情により刊行できなくなったため、今回はこの本が唯一の新刊ということになります。
小説を期待されていた方には申し訳ありません。ただ、pdさんの着眼点はかなり珍しいというか、日本のおとボク同人では見たことがないところなので、ぜひご覧いただければと思います。
■裏話
この本ですが、毎回当サークルにお越しの方の中には冬コミのときにこの表紙を見た方もおられるかと思います。
この本は、むげんれんさの本に参加していただいている台湾の同人作家pdさんが台湾で頒布していた同人誌を日本語にして発行したものです。ちなみに、写真の左側が日本語版、右側が中国語版となります。
さて、この日本語版ですが、最初は割と簡単に考えていました。
「中国語の文章を自動翻訳にかけて、表現を調整すればいいだけ」
ところが、そんな甘いものではなかったのです。
まず、中国語の文章がテキストで抽出できないというところから作業は始まりました。執筆に使われているソフトは、日本で一時よく使われていたSAIというソフトです。このソフトは文字を画像に変換しないと扱えないという仕様で、当然中国語も画像でした。
画像ならOCRにかければ良いという発想になりますが、日本語のOCRは多くとも中国語も扱えるものはわずかです。しかも、日本語としては認識しないでほしいという条件が付きます。最初はGoogleドキュメントを使用し、試行錯誤の末、最後には中国語対応のOCRソフト(の体験版)を使用しました。
そして、テキストとなった文章を自動翻訳サービスを使って翻訳。ところが、機械翻訳は適切な訳語選択ができないとまるで意味が通らない文章になります。特に熟語や人名などが大きなネックとなります。また、元の文章では句点(。)がなく、全部が漢字であることも相まってどこまでが1つの文章だか判別が難しかったです。中国語の熟語辞典を参照しつつ、複数の翻訳サービスの結果を見比べながら、訳文を決定しました。
何とか日本語にした後は、おとボクの世界観に沿った形で文章を組み直し、吹き出しの形に合わせて言い回しを工夫(文章を短くする)しました。
多くの場合、中国語の表記は日本語の表記に比べるとかなり短くなります。中国語で1~2文字の場合、吹き出しも相応に小さく、台詞を収めるのは大変でした。
そして、日本の入稿規則に合わせた原稿の変形。
漫画を読んでいると、ページの端まで絵が印刷されていることがありますが、あれは原稿段階で紙の端よりも外まで絵を描くことで実現しています。これを塗り足しといいます。
オリジナルの原稿には表紙を含めてこの塗り足しがないものがいくつかありました。そのため、塗り足しを含めたサイズに拡大します。単純に拡大すると縦横比が狂うので、縦横比を維持しつつ拡大しますが、拡大した結果、コマの枠線が裁断線近傍に来る場合があり、そういったコマを修正し……。
そんなこんなでかなり手が入りました。
ブースには中国語版も置きますので、会場にお越しの際は、ぜひ見比べていただければと思います。
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